KNOWLEDGE:COFFEE’S FLAVOR
コーヒー知識:コーヒーのフレーバー
フレーバーとはコーヒーを飲んだ際に感じる味や香りなどの総合的な印象のことです。
私たちバリスタは「イチゴのような果実味」や「チョコレートのような甘さ」など、それぞれのコーヒーのフレーバーを分かりやすくお伝えしています。
実際にイチゴやチョコレートが添加されているわけではなく、コーヒーを口に含んだ時に舌で感じる味や口当たり、鼻から抜ける香り、飲み終えた後の余韻など、様々な要素が組み合わさることでコーヒーの個性とも言えるフレーバーが形成されています。
フレーバーの種類
フレーバーの表現は様々ですが、ここでは大まかなフレーバーの種類をいくつかご紹介します。
Fruity
果実のような風味を感じた時に使われる表現です。
イチゴやブルーベリーのようなベリー系や、レモンやオレンジのような柑橘系。
他にもリンゴやピーチ、グレープなど、フルーティなコーヒーの中にも、様々なフレーバーがあります。
Froral
鼻から抜ける香りが良く、華やかな印象を感じた時に使われる表現です。
ジャスミンやラベンダー、ローズ、エルダーフラワーなど、具体的な花でより詳しく表現することもできます。
Sweety
コーヒーが持つ甘みを感じた時に使われる表現です。
キャラメルやチョコレート、ハチミツのような甘い物の他、バニラのような甘さを連想させるものも表現として使います。
Spicy
香辛料のような風味を感じた時に使われる表現です。
シナモンやナツメグ、カルダモンの他、ペーパーミントのようなハーブ系の香りを感じることもあります。
フレーバーホイール
参照:SCAA(http://www.scaa.org/?d=scaa-flavor-wheel&page=resources)
コーヒーのフレーバーを分かりやすくチャート化した「フレーバーホイール」というものがあります。
円の内側から外側にかけて、フレーバーのイメージが抽象的なものから細分化されており、イメージをより具体的に表現できるものです。
フレーバーを形成する要素
コーヒーにはそれぞれのフレーバーの個性がありますが、それはいくつかの要因に複雑に絡み合うことで生み出されています。
焙煎度合い
主に甘みと苦みのバランスに関係します。
浅入りでは甘く明るい印象になり、深煎りになるほど甘みが少なく苦みが強くなってきます。
同じコーヒー豆でも浅煎りのコーヒーではブラウンシュガーやミルクチョコレートのような甘みだったものが、深煎りのコーヒーではカラメルやビターチョコレートのように感じます。
精製方法(プロセス)
コーヒーチェリーが生豆になるまでの発酵工程である精製方法によってフレーバーは大きく変わります。
ナチュラルプロセスのコーヒーはベリー系やブドウのようなフレーバー、ウォッシュドプロセスのコーヒーは柑橘系やピーチのようなフレーバーになりやすい傾向があります。
また、アナエロビックファーメンテーションや特殊な発酵プロセスを施したコーヒーはスパイスやハーブ、独特なフレーバーが発現し、新しいコーヒー体験が可能になります。
標高
コーヒー栽培を行っている土地の標高も重要な要因です。
標高が高いほど日柱と夜の寒暖差が激しくなり、コーヒーチェリーは固く締まった状態で成長します。
その結果、雑味のないフレーバーに仕上がったり、よりフルーティな風味のコーヒーになります。
エチオピアやタンザニアなどのアフリカに位置する生産国は非常に標高が高く、良質な酸を楽しむことができます。
品種
ワインを製造するためのブドウに多くの品種があるように、コーヒーにも様々な品種があります。
中南米で多く生産されているブルボン種はしっかりとした甘みと優しい酸味が特徴で、ストーンフルーツのような果実味とサトウキビのような甘さがあります。
ケニアで開発されたSL34種はとろみのある質感とジューシーな味わいで、グレープフルーツのフレーバーが発現しやすい傾向にあります。
近年人気の高いゲイシャ種は紅茶やジャスミンのような華やかさがあり、とても上品な味わいです。
コーヒーを選ぶ際に生産国と精製方法に注目しがちですが、品種もコーヒーのフレーバーを形成する重要な要素の一つなのです。