PROCESS:ANAEROBIC FERMENTATION

精製方法:アナエロビック ファーメンテーション

アナエロビックファーメンテーションとは、ナチュラルウォッシュドなどの精製処理の際、意図的に嫌気性発酵(無酸素状態での発酵)を行う精製方法です。

まず前提として、コーヒーはコーヒーチェリーを収穫してから生豆の状態にする過程で、どの精製方法においても発酵のプロセスを経ています。
この際の発酵は好気性発酵と呼ばれるもので、空気(酸素)を好む微生物の働きによってミューシレージを分解・除去することを目的としています。
しかしながら発酵がコーヒーにもたらす影響は単にミューシレージの除去に留まらず、ナチュラルやハニーなどのプロセスにおいては、ベリーやカシスを思わせるような独特なフレーバーを生み出すことがあります。

このように発酵が生み出すフレーバーに着目し、これまでとは異なる発酵のアプローチでて近年注目されているのが、アナエロビックファーメンテーションです。
好気性発酵とは反対に無酸素状態で発酵を促す嫌気性発酵は、ベリーやバナナを思わせる特異なフレーバーが生まれ、個性的な風味を得ることができます。
しかしながら、その反面品質管理が非常に難しく、腐敗まで進んでしまい風味が損なわれるといったリスクもあります。

精製方法はウォッシュド、ナチュラル、ハニー / パルプドナチュラルそれぞれの乾燥工程の前段階において、通常は好気性発酵で果肉やミューシレージを乾燥させるところ、無酸素状態での嫌気性発酵を行い、その後乾燥、脱穀と進んでいきます。
無酸素状態のタンクに数日間つけ込み発酵させるというのが一般的ですが、漬け込む時間や方法などは各生産者ごとにさまざまで、基準や方法論が確立しているとはいえません。

Anaerobic

またスタンダードなアナエロビックファーメンテーション以外にも、以下の通りいくつか種類があります。

・カーボニックマセレーション
タンク内に炭酸ガスを入れ、酵素により発酵を促す方法です。
これによりバナナやイチゴのような香りを伴い、甘みを強く出すことができます。
この方法はワインの醸造で見られるもので、ボージョレ・ヌーヴォーをはじめとするフランス ブルゴーニュ地方の醸造方法として知られています。

・ダブルファーメンテーション
その名の通り2回に分けて嫌気性発酵を行う方法です。
よく見られる例として、1回目は酵母をアルコール発酵、2回目は乳酸菌を添加して発酵、といった形でそれぞれ別の発酵を促すことで、通常発生し得ないような風味や複雑さを獲得するとった例が見受けられます。

アナエロビックファーメンテーションは歴史的にはまだ浅く、各生産者による試行錯誤が繰り返されている段階です。
行き過ぎたファーメンテーションに対し疑念の声があることも事実ですが、コーヒーの可能性を広げより多くの選択肢を与えられるという点で、これからがますます楽しみな精製方法です。

 

Lineup of Anaerobic fermentation
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FINCA CALAHUTE / GUATEMALA 
フィンカ カラウテ / グアテマラ
インパクトのあるシナモンや桜餅のような風味

 

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